夏のウィーン滞在:私の心の中の「小姑みたいなやつ」

 8月から9月までウィーンで過ごして、ようやく先日出張報告書を大学に提出しました。証憑書類やらなんやらをまとめてしまったら時間が経ってしまって…。今回の滞在は、2018年度 ソーニャ・カトー&加藤周一・若手研究者育成プログラムによるものでしたが、一部に科研費、公益財団法人高橋信三奨学金を使わせていただいています。  実は、来年度はウィーン大学でサバティカルの期間を過ごすので(ただ、調査や講演で日本に帰ってくることはそこそこありそうなのですが)、ウィーン大学の先生方や学生・院生の方々、ソーニャ・カトーさんと交流ができ、とくに、ウィーンの社会運動や自治空間について多くを知れたことは、自 […]

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同い年の数理社会学者、吉良洋輔さんのこと

 会津大学で教員をされている社会学者の吉良洋輔さんが、2018年9月16日に亡くなりました。31歳でした。  本来、同じ職場である会津大学の先生方や、あるいは東北大の行動科学研究室の方、またPDの受入先であった東京工業大学のVALDESの方々、数理社会学会の会員の先生方といったような、もっとお近くにおられる方がたくさんいると思うので、私などに彼を悼む権利があるのか、そしてこうして文章を書くのが良いことなのかどうなのか、分からないままですが、彼はとても大事なことを私に教えてくれた友人のおひとりですので、こうして書こうと思います。  ある一時期、私はすごく初歩的ですが社会ネットワーク分析にハマって […]

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マイノリティーだから過剰同調する。自分にも覚えがある(毎日新聞寄稿「『生産性』を掲げる背景に」)

 毎日新聞大阪本社版の隔月のリレー連載が、今週の日曜版に掲載されています。ここ最近、じつは、ずーっと「生産性」という言葉が気になっていました。私の政治的な立場や主張とは全く距離のある議員の方が発された言葉でしたが、そうした言葉にみょうな「親近感」があったのもまた確かでした。  少なくとも、私にはただの「非常識な政治家の問題発言」というふうには思えなかったのです。過激な発言によってある種、キャラを立たせようとしてしまう彼女の姿に、勝手になにか重ねてしまうものがありました。  そこで、女性国会議員比率が極端に低いこの国で、彼女に(私に)この感覚を抱かせるものは何なのか、すこし考えてみました。 &# […]

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最近の対談、インタビューなど

・先月から今月にかけて、いくつかインタビュー、対談、コメントが出ているので紹介します。 – 高齢者描く漫画に共感 生きがいや不安、介護などに光当て 中高年読者、自らの将来重ね反響(共同通信発信、7-8月)  『傘寿まり子』『大家さんと僕』に代表されるような、高齢者の登場人物が活躍する漫画の増加についてコメントしています。漫画の消費者層が歳を重ねるにつれ、高齢者が脇役でなく主人公として描かれ、何に悩み、葛藤するかという部分を具体的に描く漫画が増えたように思います。個人的には学生さんにも漫画を読んでほしいなと思ったりしています。 – 世代を超えた社会運動は可能か? 思想押し […]

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助成金内定と、夏のとみながアースツアー

 最近は、私にしては珍しく?大学の仕事が少し忙しかったりします。近況報告もいろいろしたいのですが、いくつかの助成金に内定したので、まずはそちらから書こうと思います。  - 「社会運動と知識人の新たな関係性」(ソーニャ&加藤周一・若手研究者育成プログラム、立命館大学研究部)  加藤周一先生のご息女(ソーニャ・カトーさん)による助成プログラムで、立命館大学の若手研究者向けのものです。この助成をもとに、1ヶ月半ほどウィーンを拠点としながら、様々な催しや地域に顔を出す予定でいます。加藤周一先生のご本は、特に「凡人会」での講義録がとても好きです。表立った社会運動よりもライフスタイルを通じた活動を好む姿勢 […]

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6月はこちらでお話

 ふと講義中に「まだ5月か…」と言ってしまいました。学期中は大変ですが、体を壊さないようにしたいです。 ⬛合評会『歴史修正主義とサブカルチャー』(6/5, 於お茶の水大学ジェンダー研究所) http://www2.igs.ocha.ac.jp/events/2018/05/0605/  倉橋耕平先生のご著書『歴史修正主義とサブカルチャー』の合評会にコメンテーターとして参加します。とても面白いご本で、どのように貢献できるのか、まだ悩みつつコメントを考え中ですが楽しみです。 ⬛研究会「職場の人権」(6/16, 於エルおおさか) http://syokuba-no-jinken.org/ […]

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5月のお話と学会報告/4月にやったこと

こんなこと書いて誰得って感じなのですが、メモがわりに書いておきます。 ⬛ウィーン大学日本学科 パブリックセミナー(5/7, URLはこちら)  - “Protest Tourism: Solidarity and Protest of Young Japanese in the Era of Individualization” というタイトルで、ここのところ研究している「社会運動ツーリズム」について講演します。「旅するアクティヴィストたち」については、summit-hopper, inter-continental caravan といった呼称があり、オルター・グロー […]

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4/21「真夜中の補講」にて藤野裕子先生(東京女子大学・歴史学)と対談

 4月21日(土)21時から23時まで、藤野裕子先生(東京女子大学)が主宰されているインターネットラジオ番組(ツイキャスというそうです)「真夜中の補講」に出演することになりました。内容は以下のとおりで、こちらのURL(https://twitcasting.tv/fujinoyuko/)から見られますので、どうぞよろしくお願いいたします。放送内でお話する予定ですが、ちょっとしたコラボレート企画も考えてますのでぜひよろしくおねがいします。  藤野裕子先生は都市暴動の歴史学(日本近代史)について研究されていらっしゃる研究者の先生ですが、同時にこうした記事(藤野裕子「日本を考える」imidasウェブ […]

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4月のお話予定

 4月ですが、以下のスケジュールでお話します。中にはエクスクルーシブなものもありますが、一応今こんな感じのことに関心がありますよ、というお知らせも兼ねて書いておきます。遠くで開催されるものもあるので、その時期お近くにいらっしゃる方がいらっしゃいましたら、お声がけいただけますと嬉しいです。 ⬛ 4/12(木)10:30-12:10 学振セミナー@立命館大学衣笠キャンパス  院生向けのセミナーで、学振申請書のコツについてお話します。図を入れて、行間をあけて……という「コツ」ももちろんですが、院生仲間と楽しくなかよく書いていけるような環境づくりについても考えていきたいなと思ってます。院生でも狙える民 […]

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2月から3月にした仕事まとめ(エッセイ、コメントなど)

 いくつか仕事をしたので備忘録がてらメモしておきます。  -『ユリイカ』3月号「特集 岡田麿里」  「変わらないことへの保守的な愛着としての青春」という題で、岡田麿里さんの『あの花の名前を僕たちはまだ知らない。』『心が叫びたがってるんだ。』評を寄せています。  岡田麿里さんの物語の面白さは、変わってしまう(そしてその変化を郊外の中で逐一監視される)主人公たちが、「変わらない」ままでいたいと欲し、再度「変わらない」ものを見つけ出す、というストーリーにあると思います。そもそも「変わらない」ものなんてない、その中で主人公たちが過去に行き着く、過去の周期的な共有をもって「変わらないこと」を繰り返そうと […]

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