最近は、私にしては珍しく?大学の仕事が少し忙しかったりします。近況報告もいろいろしたいのですが、いくつかの助成金に内定したので、まずはそちらから書こうと思います。
- 「社会運動と知識人の新たな関係性」(ソーニャ&加藤周一・若手研究者育成プログラム、立命館大学研究部)
加藤周一先生のご息女(ソーニャ・カトーさん)による助成プログラムで、立命館大学の若手研究者向けのものです。この助成をもとに、1ヶ月半ほどウィーンを拠点としながら、様々な催しや地域に顔を出す予定でいます。加藤周一先生のご本は、特に「凡人会」での講義録がとても好きです。表立った社会運動よりもライフスタイルを通じた活動を好む姿勢など、共感することも多く、また「こうしたものも運動になるんだ」という発見がある点でとても参考になっています。
– 「1970年代における「若者」表象の研究――政治の季節と大衆消費社会のはざまで」(人文科学、社会科学に関する学際的グループ研究助成、サントリー文化財団)
1960年代-70年代という「政治の季節」を担った人々のカウンターカルチャーとして、『ビックリハウス』に代表される雑誌投稿を分析しながら、若者たちの持っていた対抗性や政治性がどのように下位文化(サブカルチャー)へと受け継がれていったのかを明らかにします。研究成果は論文として公刊するほか、いまのところ柏書房さんから一般書として刊行する予定です(頑張って書きます)。
-「『ハガキ職人』から見るラジオ文化の創造と再生産」(研究助成、公益信託高橋信三記念放送文化振興基金)
これも上に同じく、カウンターカルチャー(「パロディ」「風刺」)としての投稿文化をみつつ、こちらでは主に投稿者同士、投稿者-編集者(構成作家)のネットワーク形成に焦点を当てたいと思います。現在、調査を進めていますが、投稿者同士の、競争といいますか連帯といいますか、そうした紐帯がいかに投稿という濃厚なサブカルチャーを形成しているのかを検討したいと思っています。
「子どもの政治・社会イメージと生活環境」(国際言語文化研究所 萌芽的プロジェクト研究助成プログラム、立命館大学研究部)
子どもをとりまく人的・社会的環境によって、社会運動参加に限らず、政治的な意識の「発信」のあり方がどう異なるかということを検討したいと思っています。『社会運動と若者』ではまだ掴みきれなかった、人々をとりまく、変な言い方ですが「政治に関わる部分での文化資本」が気になっています。同僚の先生との共同研究です。
今年は科研費を外してしまったので、これでようやく例年並みというところで、でももうちょっとほしい!という感じです。夏は8/3-9/10ごろまで欧州に滞在予定で、今のところ拠点となるウィーン以外は、ベルリンとブリュッセル、ザルツブルクしか予定決まってません。今回の滞在は割と自由がきくので、突発的にどこかお邪魔するのもいいかもと考えています。もしお近くにいらっしゃる方はご連絡下さい(いまのところ「アースツアー」というより「ヨーロッパツアー」ですね)。