(いままでのあらすじ)年賀状撮影のためにひつじさんに扮して京都散歩をするとみなが。観光客の皆様と交流しつつも、「これじゃ前にやったのと同じだ。こんなのでいいのか」と思い始めていた。新年だし、もっといろいろやってみたい。そんななかひつじさんが思いついたのは…?
町並みを堪能し、写真撮影もあらかた終えて、散歩していたひつじさん。そこで、ある看板を見かけました。
「鴨川をどり」の看板を見つけたひつじさん。写真を一緒に撮ってもらった住民の方いわく、春頃に行われる舞踊を中心とした行事なのだとか。ひつじさんの今住んでいるところには踊りを中心とした行事がないので、ちょっと憧れます。
そこで、せっかくなので、自分で「ご当地ソング」を作って踊ってみよう!と考えました。お正月といえば、俳句や和歌を詠うことが多い気もしますが、たまにはこんなのもいいでしょう。そうと決まれば、帰って早速ご当地ソングを作ってみましょう。
とみ…ひつじさんの今住んでいる街に関する曲を作ってみます。さらに、いつもこのページの企画を手伝ってくれるO氏にも、地元の「ご当地ソング」を作ってみてもらいました。
その名も、「市ヶ谷節」と「等々力音頭」。名物を散りばめたり、住民の苦悩を織り込んだり、韻を踏んでみたりなんかして、それなりにご当地ソングになったと思うのですが、なにせ素人ひとりと一匹、どの程度これが歌って踊れるご当地ソングとしての条件を満たしているのか、よくわかりません。そこで、専門家の人に聞きに行くことにしました。
京都、東京、滋賀…なんだか今回はいろいろなところを回っていますが、これもいいご当地ソングを作るため。読者の皆さんにもお手間をお掛けしますが、もうしばらくお付き合いくださいますと幸いです。
さて、ご当地ソングに関する相談に乗ってくださったのは、民謡の専門家、滋賀県立大学の武田俊輔先生。ひつじさんとO氏の作った歌をみて、何やら渋い顔をしています。
「ひつじさんとO氏が作りたいのは、専門的には『新民謡』っていうんだ。『東京音頭』とか『波浮の港』とかが代表的だけど、わかるかな」
「それなら知ってます。『東京音頭』みたいな感じで、ひつじもO氏も、この曲で歌ったり踊ったりしたいんです!春ないし夏の等々力や市ヶ谷を、この曲で明るく照らしたいんです!」
ひつじさんによる必死のプレゼン。すると、武田先生から予想もよらない言葉が。
「…新民謡としてみると、これは失格かな」
「えっなんで。これには私の市ヶ谷歴5年とO氏の等々力歴30年が詰まってるんですけど…」
「特に等々力音頭は、地元民の自虐ご当地ソングとしては良く出来てるけど…
そもそもメッセージ性とかあったら、楽しく観光客が来られないもの。
新民謡っていうのはね、名所旧蹟を読み込んで、漠然と雰囲気で聴かせるイメージソングなんだよ」
【お正月企画とはいえ、専門家になんということをさせているのか】
その後も、武田先生のダメ出しが続きます。
「観光客の人々に来てもらうために作るのが新民謡なんだから。
市ヶ谷節は『~そう』って表現が続いて漠然としているし、
等々力音頭は面白いけど、等々力に行きたくなくなったのは確かで、その意味では新民謡の逆の効果は発揮してると思うよ」
武田先生、ひつじが相手とはいえ、結構はっきり言いますね。
「そんなあ。じゃあどうすればいいんですか」
「とりあえず、新民謡の歌詞を読んで勉強してみたら?」
「わかりました…」
ひつじさんの新民謡作り、いったいどうなる!? Kyoko meets Hitsuji-san 3 (https://kyokotominaga.com/hitsuji-san_3)につづく!